わたしの日常と星屑

明日に戻りたい

冬馬の選択

 

「さすがに眠たくなってきたなぁ、明日何時に起きようか」

 

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あの日 - わたしの日常と星屑

続きかな。冬馬side

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ハルカの問いに答える前に、抱きしめていた。
この夜が終わってしまうのが怖かった。

何度も名前を呼んだ。
必死にキスをして、見たくないものを消し去るように愛し合った。
何度も何度も繰り返し、熱が冷める前に僕らは眠りについた。

 

 

会う口実なんて、いらないかもしれないけれどそれがないと怖かった。
僕らは、会う口実をその部屋に置いて東京へ帰った。

 

あのとき置いてきた、あの口実はハルカをずっと苦しめているだろうか。
もしかしたらもう、ゴミの日に捨ててしまったかもしれない。


すっかり常連になった青いコンビニでお弁当を探しながらも思い出す。
東京でハルカと過ごしたことなんてほとんどないのに
ハルカとの思い出は嫌になるほど溢れてて、忘れようと思うほど、忘れられない。

 

 

「ただいまっと」

誰かが居るはずもない暗い部屋に向かって白い息を吐いて、
肩から下げていた鞄を投げた。
ただ、中には仕事用のパソコンが入っているから壊れないようにベットの上に。

あの日、東京に戻る新幹線の中で
僕は関西に戻ることををハルカに告げることなく決意していた。

もちろんハルカと一緒に暮らすため。

だけど、僕は今1人東京で暮らしている。

 

もっとちゃんと伝えていたら、
僕は関西で仕事をしていたのだろうか。
それとも、ハルカが東京で暮らすーなんてこともあったのだとうか。
「おかえり」そう笑って帰りを待ってくれて居たのかもしれない。

それでもいつになっても何も言わなかったのは、自信がなかった。
あの夜、愛してると言った僕にハルカは涙を見せて頷いた。
うん。うん。と何度も言って笑ってくれた。
でも愛を伝える言葉を口にすることはなかった。

だから、ハルカにとっての幸せが僕と居ることなのかとか
もう、この恋は終わっていたんじゃないのかとか
そんなことばかり考えて、考えて、怖くなって、僕は仕事に没頭していた。

ハルカが、僕を選ばない

そう思うだけで怖くて、忙しいという理由をつけて
連絡をとることもやめて、仕事に打ち込んだ。

喜ばしいことに業績は営業課1Gでダントツのトップだ。

だから、僕にはこの仕事が合ってるんだ。
大阪で仕事をしていた友人も業績がいいやつは次々と東京へ来る。
だから、僕も東京にいるべきなんだ。
そんなことを言い訳にして、東京を選んだ。

 

なんて、本当に言い訳でしかない。

 

本当は東京を選んだんじゃない。

ハルカが他を選んでしまうことが怖かったから
僕がハルカを選ばないことを選んだんだ。

 

食べ終わったお弁当を、もらったレジ袋に入れて結んで捨てる。
「よし、やるか」
声に出さないと動けなくなりそうだった。
ハルカへの想いは閉じ込めることは出来ても、捨てることは出来ない。

連絡するすべは知ってる、あの日置いてきた口実もある。
言わなかったらまた後悔することになる。

 


そんなことを今日もきっと明日も思いながら、
僕は乱雑に投げた鞄をベットから引きづり下ろす。

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冬馬sideは、ひとまずおしまい。

読んでくれてありがとう〜!

物語なんて書いたことないもんだから、終わらせ方が分からない。