あなたがが忘れてしまっても
「 ねぇ あなたが忘れてしまっても 」
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前回のお話の続き
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眠っていた
いや、時計の針は5分も進んでいないから眠っていたのか分からないけど、さっき会いたいと強く思った彼女がまた夢に出てきた。
そう、あのとき彼女は、そんなことを言ったのだ。
僕は笑ってみせることしかしなかった。と思う。
入社して、連絡しても仕事の話ばかりだった。しかも、僕の仕事の話ばかりだった。同じように新卒で神戸の会社に入社した彼女の仕事のことは、僕の記憶にない。きっと話していない。話していても僕は聞いていなかった。
彼女は僕のことをよく知っていた。僕自身よりも理解していた。だから、これから仕事ばかりになっていく僕のことを分かっていたんだ。なのに僕は、、、
時計の針はさっきよりも少し進んで6時23分。
新幹線はもう、動いている時間だ。
今日は日曜日。
明日から彼女も仕事だろうが、彼女も僕も今日は休みだ。
「都合がいい」
そんなことは分かっている。知っている。
でも行かないという選択肢は選べない。
最寄駅から東京駅まで30分
東京は相変わらず人が多い。
だけど、駅まで走ったせいで乱れた息をする僕に関心ある人はいないようで、誰も見ていない。僕ももう24歳になるのか。少し運動する必要があるな。なんてことを思いながら息を整える。
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『新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。
まもなく、16番線にのぞみ10号が到着いたします。
安全柵の内側までおさがりください。』
神戸に着くのは10時過ぎ。
どうやって会いに行こうか・・・。
まずは、君にメールを送ろう。
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読んでくれてありがとうございます。
また妄想を膨らませて見ました。
第3話はこちら