今年の桜は
「今年の桜は少し遅いみたいよ」
****
続きです。
****
10時より少し前。
神戸の到着アナウンスが流れて支度をしようとしたところ、隣に座っていた優しい笑顔の老人にそう話しかけられた。
「あなたは神戸で降りるのでしょう?きっと桜が見頃よ。」
え?
僕が声に出したのと同時に、新幹線は神戸に到着した。
優しく笑うその老人に、何も聞くことはできなかった。
いってらっしゃいという言葉を背に僕は走った。
老人の言葉を頭の中で繰り返す
「彼女のこと 抱きしめてあげなさい」
僕のことを知っていたのだろうか
彼女のことを知っていたのだろうか
分からない。
僕がなんで走っているのかさえ分からない。
彼女に送ったメールは1行だけ。
神戸に着いたら電話しよう。
まずは、ご飯にでも誘うと思っていた。
でも、止まれない。
早く、会いたい、会いに行きたい、抱きしめたい。
「 ハルカっ! 」
******
2年前。
新幹線で神戸に向かうとき、横に座っていた女の子がまっすぐ前を向いて、
泣いていた。
声には出さず、静かに。
唇の色がなくなってしまうほど噛み締めていたから、きっと強い子だ。
「今年は、雨が多いわねぇ」
そういうと、女の子はこっちを向いて頷いた。
うん。優しい子だ。
知らない老人の言葉を無視するのではなく、涙を隠して笑顔を向けてくれた。
「私は、ハルミ。これから神戸にいくの。あなたは?」
そう聞くと、女の子は少し驚いて優しく笑った。
「私はハルカ。おばあちゃんと名前似てるね。ふふ嬉しい」
歳をとっていろんなことを忘れてしまったけど、あの日のことは今でも覚えてる。
神戸までの3時間。たくさんのことを話した。
彼の名前は確か、冬馬。
名前は冬だけど、夏みたいな人だと彼女は笑った。
「ハルカちゃん。今度は3人でお話したいねぇ・・・」
***
4話目。
もうちょっとで終わるね。
ここで主人公に名前をつけました。
冬馬。そして彼女がハルカ。
10時まで。
「ごめんなさい。ありがとう」
そう電話を切ると、もう一度メールを確認した。
****
続きです()
****
「10時すぎに神戸につきます。」
久しぶりに届いた彼からのメール。
たった1行だけ。
冷静を装いたくても、明らかに動揺している私の心臓はうるさい。
10時まであと1時間と20分。
彼は、ここに来るのだろうか。
どこかランチに誘われるのだろうか。
とりあえず支度をしよう。
私の心臓は、まだうるさいままだ。
あなたと最後にあったのは春だった。
花見がしたくて一緒に行ったのだけど、前日の雨で桜は散ってしまっていた。
あなたは帰ろうと言ったけど、私はあなたとの最後のデートになるって思ったからそれを拒んだ。あなたのことが本当に好きだった。そして、今も、、、
気づけば10時まであと5分。
私の心臓は、ずっとうるさい。
***
前回のお話の続き
彼女目線でした。
まだもうしばらく続きますので、よろしくお願いします。
あなたがが忘れてしまっても
「 ねぇ あなたが忘れてしまっても 」
***
前回のお話の続き
***
眠っていた
いや、時計の針は5分も進んでいないから眠っていたのか分からないけど、さっき会いたいと強く思った彼女がまた夢に出てきた。
そう、あのとき彼女は、そんなことを言ったのだ。
僕は笑ってみせることしかしなかった。と思う。
入社して、連絡しても仕事の話ばかりだった。しかも、僕の仕事の話ばかりだった。同じように新卒で神戸の会社に入社した彼女の仕事のことは、僕の記憶にない。きっと話していない。話していても僕は聞いていなかった。
彼女は僕のことをよく知っていた。僕自身よりも理解していた。だから、これから仕事ばかりになっていく僕のことを分かっていたんだ。なのに僕は、、、
時計の針はさっきよりも少し進んで6時23分。
新幹線はもう、動いている時間だ。
今日は日曜日。
明日から彼女も仕事だろうが、彼女も僕も今日は休みだ。
「都合がいい」
そんなことは分かっている。知っている。
でも行かないという選択肢は選べない。
最寄駅から東京駅まで30分
東京は相変わらず人が多い。
だけど、駅まで走ったせいで乱れた息をする僕に関心ある人はいないようで、誰も見ていない。僕ももう24歳になるのか。少し運動する必要があるな。なんてことを思いながら息を整える。
***
『新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。
まもなく、16番線にのぞみ10号が到着いたします。
安全柵の内側までおさがりください。』
神戸に着くのは10時過ぎ。
どうやって会いに行こうか・・・。
まずは、君にメールを送ろう。
******
読んでくれてありがとうございます。
また妄想を膨らませて見ました。
第3話はこちら
「 ねぇ 」
「 ねぇ 」
君の笑顔で 目が覚めた。
もう1年半くらい連絡 とってないのかな。
学生のころはあんなに一緒にいたのに 社会人になった僕は仕事が楽しくて、遠くにいた君に連絡をとる時間さえもが、面倒に思えていた。
だんだん君からの連絡もなくなって、僕らは呆気なく自然消滅
「都合がいいな」
自分自身に聞かせるために少し大きめに声に出して笑った。
今更、君の夢をみて、君の笑顔を思い出して、もう一度 会いたいなんて思うなんて、どう考えても都合がよすぎる。
すごく好きだった。
だけど、初めての東京に僕はすっかり浮かれていたんだ。
新卒で入社した今の会社だけど、新規事業部に配属され、自分に酔って君のことちっとも考えることができなかった。
「 ねぇ 」
そのあと君は何を言いたかったんだろう
大好きだった君の笑顔も、その言葉も今ではもう
はっきりと思い出すことができない。
*******
第2話
完全にこの写真が好きで物語をつけてみたくなっただけです。
駄文を最後まで読んでくれてありがとう。
ついでにポチッとしてください
私は臆病
通称:ここさけ
この夏実写化が決定しているアニメ映画
それを3回目になるんやけど、今日 みた。
****
主人公の名前が成瀬順。
じゅんなのだ
私と名前が一緒な分辛さが倍増する
「誰か、じゅんの王子様、今すぐここにじゅんを助けに来てちょうだい」(本編より成瀬順のセリフ)
開始5分もたたないくらいのセリフ
この時点で私の心はもうなんだか痛い。別に名言とかでもないのに。
*******
他にもたくさん名言があるんだけど、今日は別の話。
ふと見てる時に思ったこと・
もしかしたら映画となんの関係もないのかもしれないけど
***********
小学校の学芸会の練習中
舞台のスポットライトが暑かったのか、体調がもともと悪かったせいか、横の友達に「じゅんちゃん顔真っ青!!先生呼んでくる」と言われたその後、倒れた。
この練習は学年リハーサルだったのか、みんな揃っていた中、先生にお姫様だっこされたのを覚えている。
保健室で寝て、同級生の女の子が様子を見に来てくれた。
そのあとに1人の男の子が来てくれた。
心配した。大丈夫なのか。
そんな言葉と好きだということ。
その先はあまり覚えていない。
嬉しかったことと、だけどその男の子のことを私はきっと傷つけたんだろうなって今は思ってる。
***
私は、人からの好意が怖かった。
恋愛感情ならなおさら、怖かった。
1番好きな人を何度も好きじゃないといった。
1番好きな人を何度も拒否した。
嫌われたくなかったから・・・
今考えると、本当になんて自分勝手なんだ
だけどずっと臆病だった。
好きだと言われて、いつかそれに終わりが来ることを考えると怖かった。
******
その男の子は今、幸せにしている
あの時のことなんか言われなきゃ思い出すこともないだろう。
自分が傷つきたくない
そう私は行動して来たのだけど、私はそう行動して来て、ずっと傷ついてる
「言葉は傷つけるんだから、もう取り戻せないんだから後悔しても、もう取り戻せないんだから。」(本編より成瀬順のセリフ)
臆病はもう嫌だ。
春は別れの季節。
私は臆病な私とさよならしよう。